年末調整では最もマイナーで、漏れが多い「寡夫(かふ)控除」について、ご説明します。

奥様と離婚・死別したシングルファザーの方は、年末調整で「寡夫控除」を受けられる可能性が高いので、よくご確認ください。

数万円~10万円くらい損をしている可能性があります。

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寡夫控除フローチャート

寡夫控除
うちの子たちが通う保育園でも、「父子家庭」で育つお子さんが何人もいます。

朝早いうちからお父さんが送ってくるのに大体一緒になります(9時出社の方が多いからなのでしょう)。

保育園でも、そんな状況に配慮してか、「母の日」(父の日も)のお祝いは特別にしないルールになっています。

シングルファザーの置かれている状況については、ドラマ『37.5℃の涙』のモデルとなった病児保育事業などを行う認定NPO法人フローレンスのこちらの記事をご紹介します。

参考 「父の日」に、シングルファーザーについて知ってください。-知られざる父子家庭の「今」-

さて、フローチャートでは「シングルファザー」からはじめましたが、寡夫控除を考えるにあたっては、実は、「未婚のシングルファザー」の話から始めなければなりません。

未婚のシングルファザーの方は、2005年の統計で2万人、2010年の統計では3万人を超えていて、今年の統計ではさらに増えていることが予想されます。


「寡夫(かふ)」とは、

妻と離婚または死別(生死不明含む)し、再婚をしていない男性

のことをいいます。


「未婚」・「事実婚」では寡夫になれない

未婚の場合

したがって、「未婚」の場合には、寡夫に該当しません。

どうしても「結婚」が大前提なのです。

この点については、保育料などに大きな影響を与えるため、市区町村によっては、「みなし寡夫」という形で、寡夫に相当する存在として、保育料の減額などをしているところもあります。

参考 横浜市 寡婦(夫)控除のみなし適用のご案内

事実婚・同性婚の場合

また、この「妻」というのも、民法上の婚姻関係に基づくものですから、「事実婚」の場合には、事実婚のパートナーが亡くなったとしても、寡夫には該当しません。

最近は同性婚(例:渋谷区のパートナーシップ証明)も注目されていますが、こちらも民法上の婚姻関係ではありません。

寡夫控除

さて、本題に入ります。もう一度、フローチャートを出します。
寡夫控除
  1. 離婚・死別・生死不明で独身となり、再婚していない状態
  2. 所得38万円以下の同一生計の子がいる
  3. 本人の合計所得金額500万円以下
の3つの条件を満たすと、27万円の寡夫控除を受けることができます。

1番目と2番目はいいかと思います。

3番目の条件は、「所得」になっているのでわかりづらいですが、「年収」で6,888,889円くらいです。


そして、「扶養控除等申告書」では、真ん中に次のような欄があるので、ここの中で「4 寡夫」というところの「4」に「〇」をつけます。
寡夫控除 マルフ

・・・たったこれだけなのですが、まともにやっていなくて損をしている場合があります。

奥様が亡くなった方、離婚した方で、これから子どもとどうしていこう、という方は、この3つの条件に該当する場合があるかと思われます。

寡夫控除は時代遅れ

最後に、女性が受けることができる「寡婦控除」と比べてみましょう。
寡婦控除
明らかに男性よりも女性の方が優遇されていることが分かります。

もともと「寡婦控除」は、夫を戦争で失い、子どもを抱えた女性を支えるために昭和26年(1951年)からできた制度です。

その後、なぜ「女性(寡婦)」だけ認められるのに、「男性(寡夫)」には認められないのか?ということで、遅れること30年後の昭和56年(1981年)になって「寡夫控除」が導入されました。
「民主国家、近代国家においては男女は法のもとに平等だし、いずれも平等に課さなければならない。」『昭和56年 改正税法のすべて』
それからさらに30年以上が経過して、現在の社会状況は、30年以上前と、60年以上前と、かなり変わってしまったのではないでしょうか。

・・・にもかかわらず、化石のように当時と同じ制度を引き継いでいる現状は、疑問に感ずるところであり、多くの人が指摘しているところです。

もはや戦後でもなければ、高度経済成長期でもありませうもん。

「配偶者控除」には、相手が夫か妻かで控除の差はありません。

これは単に所得税だけの問題ではなく、保育料やそれ以外の制度につながります。

「未婚のシングルマザー・シングルファザー」がそもそも受けられることと合わせて、時代に合わせた見直しが必要です。

「配偶者控除」の見直しばかりが注目されますが、寡夫控除も含めてもう一度、所得控除の見直しをすべきと考えます。

忘れていたら税務署に相談を

もし、寡夫控除を忘れていた方は、過去にさかのぼってできる場合がありますので、税務署にご相談ください。


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