個人住民税はどのような流れで計算されるの?

住民税の特別徴収と普通徴収の違いを知っていただくために、まずは、どのような流れで住民税が計算されているかをご説明します。


毎年6月と言えば、住民税の季節でもあります。

なぜこの時期か? さかのぼること半年前、昨年の12月、何がありましたか?


年末調整ですね。


会社員や公務員の場合、年末調整で平成27年分の所得税が改めて計算され、毎月天引きされている源泉所得税の合計との差が還付されたり追加で徴収されたりします。

「年末」に所得税を計算して、差額を「調整」するから、年末調整というのですね。下記のような源泉徴収票をもらいますが、これは、「所得税」の計算結果です。
給与所得の源泉徴収票(27年分)

関連記事 徹底解説!源泉徴収票(27年分)の見方と損しないための12のチェックポイント


しかし、年末で終わらない人もいます。

医療費控除を受ける場合、住宅ローン控除の初年度の場合などでは、3月15日までに確定申告が必要になります。

また、自営業の方は、年末調整なんて手続きはないので、最初から確定申告です。

いずれにしても、3月15日になってようやく、全国の所得税の税額が確定するのです。

そして、所得税の情報は、その人が住んでいる各市区町村へ渡されます。

例えば、年末調整の時には、源泉徴収票は同じようなモノが他に3枚作成され、1枚は税務署提出用に、残り2枚は各市町村へ1月31日までに送られます。
年末調整
「税務署提出用」というのは、その人が役員なら年収150万円以上、従業員なら年収500万円以上の場合のみ提出されます。

日本の平均的なサラリーマンの年収は、400万円台ですし、おそらく年末調整で終わりという方も多いでしょうから、そういう方は、税務署に給料に関する情報がいっていないことになります。

後日、源泉所得税の税務調査をするときに、確認をされる可能性があるかどうかくらいですね(あんまり見たことがないですが)。

しかし、残り2枚の各市町村へ行く分には、原則としてこのような足きりがないため、ほぼ確実に各市町村に給料の情報がいきます。
なぜなら、各市町村はそれがなければ、住民税の計算をすることができません。

そのため、たとえ数千円しか給料をもらっていなくても、原則として、各市町村に提出する義務が会社などにはあります。

一方、確定申告をした場合には、確定申告書の写しが各市町村に行きます。
確定申告書B

その中には、「住民税に関する事項」とあるように、住民税を計算するために必要な項目を合わせて書いてもらうことで、住民税の申告書を別に作らなくてすむようにしています。

まとめると、

【年末調整だけの人】
12月に年末調整をして所得税が確定

1月31日までに勤め先が各市町村に住民税を計算するための情報を提供

【確定申告をする人】

3月15日までに確定申告をして所得税が確定

その後、税務署が各市町村に住民税を計算するための情報を提供


そして、各市町村では、これらの情報をもとに、住民税の計算をします。

4月から5月頃にかけて計算が行われ、5月下旬から6月上旬にかけて、住民税の計算結果が届きます。 スポンサーリンク


個人住民税の特別徴収と普通徴収の違い

さて、本題です。

特別徴収とは、住民税を「給与天引き」する仕組みのことです。

毎月払っている給与の中から、計算された住民税を12分割して、毎月少しずつ徴収する仕組みです。

最大のメリットは、少しずつ税金をとるため、とりっぱぐれが少ない点です。

これは、同じように天引き(源泉徴収)される所得税と同じですね。

しかし、この所得税と住民税は、同じようで実は全然別ものだったりします。

というのも、所得税は、その年の分がその年に天引きされていますが、住民税は、計算結果を待たないといけないので、ずれているのです。

例えば、平成28年5月分の給与明細の所得税と住民税は、平成28年分と平成26年分なのです。
28年5月分
これは、住民税が平成26年分の所得税の結果をもとに、平成27年6月から平成28年5月まで12月かけて12回に分けて天引きされるからです。

一方で、平成28年6月になると各市町村から平成27年分の所得税の結果をもとに平成27年分の住民税が計算されるため、ここから変わります。
28年6月分
※給与の締日や支払日によって、7月分から変わることもあります。


一方、普通徴収とは、「自分で納付する」仕組みです。

本当は、とりっぱぐれのない特別徴収が理想です。

しかし、自営業の方の収入や、株式投資のもうけなど、毎月の給料のように定期的に定額で発生するわけではない以上は特別徴収できないので、自分で納めてね、となるわけです。

各市町村から、毎年6月頃に納付書がやってきます。

つまり、

【特別徴収】
各市町村が住民税を計算

各市町村から会社など勤め先に住民税の情報がいく

毎月の給料から天引きされる。

会社など勤め先が各市町村に納付する。

【普通徴収】
各市町村が住民税を計算

各市町村から直接自分に対して住民税の納付書がいく

自分で各市町村に納付する。

となっています。

Q1.どうしてボーナス(賞与)からは住民税が天引きされないの?

ここまでをちゃんと読んでいただければ、この質問に対する答えは簡単ですね。

ボーナスももちろん、所得税も住民税もかかります。

しかし、ボーナスから税金を天引きするかどうかは、また別の話です。


所得税は、年末調整または確定申告をしないと税額が確定しないため、「先取り」をしているのです。

そうすると、毎月の給料だけでなく、ボーナスからも天引きしておかないと、年末調整の時に「少なく」なってしまいます。


一方、住民税は、天引きする段階では、既に税額が確定した後です。

前の年の住民税を、後でもらう給料から天引きしているのであって、決して、後でもらう給料が増えたりボーナスが出たりしても、変動することはありません。

住民税は、「後取り」なのです。単に、既に決まった金額を12で割っているにすぎません。

そのため、所得税はボーナスから天引きされるのに、住民税は天引きされないのです。


Q2.給料の住民税を「普通徴収」にできますか?

原則として、給料から天引きされる住民税を普通徴収に変えることはできません。

現在、全国で、給料から天引きされる住民税を特別徴収にしようという取り組みがあります。

・・・ということは、実は、給料から天引きしていない場合もあるということですね。

けっこう、家族経営の会社でやっていない場合が多いです。また、従業員数が少なかったり、従業員さんから頼まれて、という場合もあります。
特別徴収
出典:全国地方税務協議会

急に会社から「今度から天引きする」と言われたら、各市町村に問題を指摘されたと思ってください。


「あれ? でも、確定申告で選べますよね」

という方は、おそらくこの部分のことを言っているのだと思います。
確定申告書 自分で納付

「給与から差引き」と「自分で納付」とありますが、その左側は、ちゃんと読んでいますか?

「給与・公的年金等に係る所得以外(平成28年4月1日において65歳未満の方は給与所得以外の所得にかかる住民税の徴収方法の選択」と書いてありますよね。

給料は、何所得ですか? 給与所得ですね。

給与所得以外の所得しか、これでは選択できないので、確定申告で「自分で納付」に〇をつけても無意味です。

これは、事業所得とか、不動産所得とか、雑所得とか、他の所得について、給与天引きしていいのかきいているにすぎません。

なお、退職をすると、天引きする給料がなくなるので、普通徴収となります。

Q3.住民税は各市町村によって高い・安いがあるの?

原則として、ありません。法律上は、一律、10%(市町村6%、都道府県4%)の税率(標準税率)となっています。

ただし、この税率は、条例で変えることができます。

愛知県名古屋市では、河村たかし市長の働きかけで、名古屋市の市民税が5.7%となっているため、合計9.7%となっています。名古屋市減税

また、逆に高くしたところとして、
  1. 北海道夕張市10.5%(市民税を6.5%)
  2. 兵庫県豊岡市10.1%(市民税を6.1%)
  3. 神奈川県内10.025%(県民税を4.025%)
となっています。

まあ、そうはいっても、たいていは数千円の範囲なので、住民税がどこに住むかによって大きく変わる、と言うことはなさそうです。

Q4.nanacoで払える住民税は「普通徴収」の分だけ?

正解です!

節約することができる数少ない方法として、おススメなのがnanacoで払う方法です。

特別徴収の分をなんとか普通徴収にして、クレジットカードチャージしたnanacoで払いたいというご相談を受けることがあるのですが、残念ながら、Q2で見たように、給料から天引きされる住民税については、自分で納付することができないため、使えません。

一方で、「自分で納付する住民税」については、納付することができます。
nanacoチャージでポイントが貯まるカード

このように、nanacoへのクレジットカードチャージでポイントが貯まるクレジットカードを使えば、税金を節約することができます。その方法は、次の記事に全部まとめました。

詳細記事 nanacoとクレジットカードで税金や公共料金を節約するために気をつけること