日本人が大好きな"モンドセレクション"

モンドセレクション最高金賞
「このお菓子、モンドセレクションで最高金賞を受賞したものらしいのよ」

と、仕事中に博多のお菓子とともにそんなことを言われて、この記事を書くことを思いつきました。


10年くらい前に某ビール会社がテレビCMで、「モンドセレクション3年連続最高金賞受賞」とかやってから、「なんかすごそう」というイメージだけはあるモンドセレクションですが、さて、これは一体、どんな賞なのでしょうか?

そういえば、某大手回転寿司チェーンで世界初のモンドセレクション金賞を受賞して、大物俳優によるテレビCMも見たことがあります。

外国の何か権威のある機関で審査して、選ばれたすごいお菓子、ビールや寿司なんじゃないか、きっと美味しいんだろう・・・というのがおそらく一般的なイメージでしょう。

・・・実態は、イメージどおりではないというのが、今回のお話です。

スポンサーリンク


モンドセレクションとは?

モンドセレクションのホームページがあったので、その説明を見てみましょう。

日本語訳のページの「ミッション」という項目を読むと、次のように書かれています。
モンドセレクションは、優秀品質の国際評価機関としてヨーロッパの首都ブルッセルに1961年に設立いたしました。
おお、なんかすごそうな機関だな、と思わせぶりですね。

ブリュッセル(ブルッセル)は、ベルギーの首都であり、また、EUの首都でもあります。

1961年ということは、50年以上の歴史がある機関といえます。

ちなみに、wikipediaの説明では、こうあります。
モンドセレクション(Monde Selection)とは食品、飲料、化粧品、ダイエット、健康を中心とした製品の技術的水準を審査する民間団体であり、ベルギー連邦公共サービスより指導及び監査を受け、モンドセレクションより与えられる認証(この組織では賞と表記している)である。

1961年、独立団体としてベルギーの首都・ブリュッセルに作られた。全審査対象品のうち5割が日本からの出品で、日本から出品した食品の8割が入賞している。

・・・ん?

モンドセレクションの「5割」が日本の商品?

世界中から集まった食品・飲料などに対して、審査が行われ、その中からチャンピオンが決まって、金賞、銀賞、銅賞と順位がつけられるのではないか・・・というモンドセレクションのイメージがあるかもしれません。


「金賞」というのは、オリンピックの「金メダル」のように、日本人にとっては競争の結果として得たようなイメージがあります。


例えば、ビールで最高金賞を受賞したと聞けば、勝手に他の国のビールと競争をして、1位になったようなイメージを与えます。


トップ3に入ったの!?

さらに最高金賞ってなんかすごくない?!


しかし、このwikipediaにあることが真実であれば、そもそも全審査対象品のうち、5割が日本からの出品であり、他の国の商品と競争するというイメージは、修正しなければなりません。

ただ、このデータの出典は『日経MJ』2008年11月14日号の記事みたいなので、今はどうなのでしょうか。

公式サイトでは、2015年に世界の地域別(大陸別)に受賞した商品数を掲載していますが、「Asia(アジア)」だけで、全体の2595点中、2072点を占めています。
モンドセレクションの地域別出品数

審査機関があるヨーロッパですら290点しかないのに、日本を含むアジアの商品をそんなに審査するって、なんか不自然な光景ですね・・・。

モンドセレクションの審査は「絶対評価」

他の商品を優劣を競うのが「相対評価」だとすると、ある一定の基準を満たせばOKなのが「絶対評価」です。

モンドセレクションの特徴は、絶対評価である点です。

公式サイトによると、次のように賞が決まります。
各セレクションの規定に従い評価・テースティングした結果は集計したのち平均値を算出します。

その得点によって賞の授与が行われます。

優秀品質銅賞
平均得点60%から69%取得商品へ授与

優秀品質銀賞
平均得点70%から79%取得商品へ授与

優秀品質金賞
平均得点80%から89%取得商品へ授

優秀品質最高金賞
平均得点90%から100%取得商品へ授与
つまり、他の商品のことはどうでもよくて、その商品自体の「品質」が評価された結果、何点がつくかで金・銀・銅が決まるというわけです。

2015年の受賞数をランク別にみていくと、次のようになっています。
モンドセレクション受賞ランク

最高金賞:412点
金賞:1291点
銀賞:740点
銅賞:152点

なんと、約1700点以上が最高金賞と金賞で占められています。

これではまるで、小学校のかけっこで、みんなで手をつないでゴールするようなものじゃありませんか・・・。

こういうのは、「賞」と呼ぶのでしょうか?

「award」の訳語としては合ってますが、個人的には「1級」、「2級」、「3級」と意訳した方がふさわしいような気がします。

・・・それにしても、この数だと、152点の銅賞になる方が難しいかもしれませんね。

内訳はこの情報だけでは不明ですが、日本の商品は品質という点では優秀ですから、きっと多くの商品が最高金賞や金賞を受賞していることでしょう。

そういえば、モンドセレクションはどうやって運営しているの?

モンドセレクションで審査を受けるためには、「応募費用」がかかります。

応募用紙を見ると、1150ユーロか1200ユーロで審査を受けることができるようです。1ユーロ125円くらいなので、1200ユーロだと15万円です。
モンドセレクション応募費用

2015年の参加商品数は2952点のようですので、仮にすべて15万円ずつ払ったとすると、4億4千万円くらいになります。

その半分が日本からだとすると2億円以上貢献していることになります。

このベルギーにある民間団体は、日本企業・・・もっといえば「日本の消費者」によって支えられているというわけですね。

公式サイトでは、わざわざ「モンドセレクションの日本における認知度」というページがあって、次のように説明されています。一部漢字を読みやすいようにひらがなにしています。
モンドセレクションは過去50年の歴史と80カ国以上からの応募者をほこります。

特に日本の消費者から以下の理由でモンドセレクションが高く評価されております。

日本人は品質に深いこだわりをもつ
ことで知られています。

モンドセレクションは優秀品質評価機関の草分け的存在であり、必然的に日本からの応募商品が多く募られてきます。

・1961年の創立以来、日本の生産業者はモンドセレクション優秀品質セレクションを高く評価し、継続的に応募する企業が多く存在する。

・日本が世界有数の経済大国である点。

・日本が食文化のリーダー的で存在である点。

モンドセレクションはこの経験を生かし、日本企業からの応募製品の分析評価能力を高めることができるのです。

問題は、「美味しい」からモンドセレクション最高金賞とは限らない点

評価基準は、応募用紙によると、次のようなことが書かれていました。
商品のタイプにより評価基準が異なります。

・五感を基準にした官能的審査による評価

・公式研究機関における確立したガス細菌検査や化学分析評価

・ラベルに記載されている内容と、商品内容が一致しているかの確認
1番目:味覚

2番目:衛生面

3番目:ラベルの信頼性

などです。

そもそも、「美味しさ」を判断するためにやっているというよりも、繰り返し出てきているように、「品質」がどうかを判断するためにやっています。
モンドセレクションは、優秀品質の国際評価機関としてヨーロッパの首都ブルッセルに1961年に設立いたしました。
最初に紹介したように、「優秀品質」を判断するためにやっています。まったくウソはついていませんが、賞をとると売上が増えるというようなアピールはしています。

また、食品・飲料などの「品質」が最高金賞ですよ!と言ったからといって、それがそのまま「美味しさ」に直結するとは限りません。

ここを日本の企業が権威づけのために利用している点が問題です。

別に品質管理のレベルを第三者に評価してもらうなら、日本にもっと厳しい基準を備えた審査機関はあるわけですから、ベルギーで審査してもらう必然性はありません。

中には100万円で審査の依頼を代行する業者がいるくらいです。


美味しさが基準に全く入っていないわけではないのですが、そもそも審査の過程をオープンにしていないので、何で受賞したのか企業もよくわからないという問題も指摘されています。

踊らされていませんか?

日本では評価されなかったのに、海外で賞をとって評価されると手のひらを反したようにチヤホヤすることがありますが、モンドセレクションもそれに近いと思います。

ここまで見てきて、モンドセレクションが品質管理のレベルを測るという本来の目的ではなく、いかに商品の魅力を伝えるか、というマーケティングの道具として使われているに過ぎないことは、なんとなくご理解いただけたのではないかと思います。

例えば、2年前にあった某大手回転寿司チェーンのCMでも、
「●●寿司 豪華セット 世界初!頂きます。」篇

本編では「お寿司では世界初となる モンドセレクション金賞受賞」を伝えつつ、

お寿司を頬張り一言、「うまい!」と唸る●●●さんの 演技で、

「豪華セット」の味の上質さを訴求します。
と、「モンドセレクション金賞」と「うまい!」を短い時間の中で伝えることで、まるでこの2つが関連性があるようにイメージさせています。

世界初も何も、寿司を日本企業の中で最初に品質管理の審査に出したに過ぎません。

しかし、それがさもすごいことのようなイメージを与える点について、どう思いますか?

よくわからないモンドセレクション金賞受賞で、もし判断させられているとすれば、それは、誰かに踊らされているということになります。

モンドセレクションだけではない!

どうも海外の権威がある賞を無自覚に「すごい」と思ってしまう傾向がいまだにあるように思います。

そもそもモンドセレクションって何だろう?

とスマホやパソコンですぐ調べることができる時代ですから、面倒くさがらずに調べてみるのが大事ではないかと思います。

もちろん、モンドセレクションの賞を受賞するために、企業が「品質管理」をがんばっているであれば、その努力を批判するつもりは全くありません。

ただ、品質管理のことなんかどうでもよくて、マーケティングのためだけに利用しているのだとすれば、ちょっと消費者をバカにし過ぎてない?と思うことの1つがこのモンドセレクションだったので、この記事を書いてみました。


他にも思い当たること、ありませんか?

ちょっと調べてみると、意外な実態が見えるかもしれませんよ。