ふるさと納税のお礼が「タブレット端末」っていいの!?

ふるさと納税は楽天カードでポイント還元率16%以上!楽天市場で自己負担0円にする裏技」という記事でご紹介したように、楽天市場でふるさと納税をすると、楽天スーパーポイントは貯まるし、楽天カード決済でさらにポイントが貯まるという恐ろしい状態になっています。

そして、肉や魚などの地元の特産品ならまだしも、なりふりかまわずiPad mini4やiPad Proがふるさと納税のラインナップに並んでいます。

【神奈川県小田原市】
9.7インチiPad Pro Wi-Fi 128GBゴールド

【ふるさと納税】都市セールスアプリ「小田原のチカラ」 15か月利用チケット(9.7インチiPad Pro Wi-Fi 128GB - ゴールド 付き)



iPad mini4 Wi-Fi 128GB シルバー



【ふるさと納税】都市セールスアプリ「小田原のチカラ」 12か月利用チケット(iPad mini 4 Wi-Fi 128GB - シルバー 付き)



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iPadはオマケ!?

いずれも見て分かることは、「都市セールスアプリ「小田原のチカラ」」というよくわからないアプリが御礼の品で、それに「iPad Pro」や「iPad mini4」がオマケでくっついてるよ、という建前になってます。

小田原市役所の方のインタビュー(東京から電車で約1時間――「ふるさと納税」にオススメしたい小田原市の魅力とは?)でも、どうやら本気で小田原市をPRするアプリがメインで、iPadはサブだとさりげなくアピールしています。
「ふるさと納税でも都市セールスアプリ『小田原のチカラ』(iPad付き)をご提供しています。小田原に魅力を感じてくださる方に、ぜひ見ていただけたらと思っています。離れていても、見たらきっと明日のチカラになると思います!」

強制力がない総務省の自粛の呼びかけ

今年4月1日に総務省が全国の自治体に対して、わざわざ「資産性の高いもの(電気・電子機器、貴金属、ゴルフ用品、自転車等)」をお礼の品で贈るのはやめましょう、と自粛を呼びかけました([PDF]地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)の一部改正新旧対照表)。
ふるさと納税は、経済的利益の無償の供与である寄附金を活用して豊かな地域社会の形成及び住民の福祉の増進を推進することにつき、通常の寄附金控除に加えて特例控除が適用される仕組みであることを踏まえ、次に掲げるようなふるさと納税の趣旨に反するような返礼品(特産品)を送付する行為を行わないようにすること

① 金銭類似性の高いもの(プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金等)

② 資産性の高いもの(電気・電子機器、貴金属、ゴルフ用品、自転車等)
 
③ 高額又は寄附額に対し返礼割合の高い返礼品(特産品)  
しかし、これはあくまで通知というものであって、法律そのものではないことから、各自治体の判断に任せる格好になっており、強制力がありません。

神奈川県小田原市が9.7型iPad Proまで投入して来ているのを見てもわかるように、8月になってもふるさと納税とはなんの関係もない商品がお礼の品となっている状態です。


ところで、本当にふるさと納税でiPadは得なの?

さて、別に私は総務省の担当者ではないので、これ以上とやかく言う気は全くなく、むしろ、興味は別のところにあります。


実は我が家は最近、iPad mini 4を家電量販店で買いました。


そのため、当然、小田原市のふるさと納税に参戦するつもりはありません。


でも、買った場合とふるさと納税をした場合で、どのような違いがあるのかは、非常に気になります。


小田原市は、当然、ふつうにiPad mini 4を購入するよりも、ふるさと納税をする方がメリットがあると思っているからこそ、このような判断をしているはずです。

では、「得する人」というのは、どういう人なのでしょうか?

小田原市のふるさと納税は「18万円」でiPad mini 4がオマケでもらえる!

楽天市場の検索窓で「iPad mini 4 Wi-Fi 128GB - シルバー」で検索すると、さりげなく3番目に小田原市のふるさと納税が、「18万円」となっていて、知らない人が見たらびっくりしますよね。
楽天市場ipadmini4

ふつうに買う時は、値段がバラバラですが、6万円台が多かったので、とりあえず6万円とします。

18万円のふるさと納税をしてiPad mini 4がもらえるので、18万円でiPad mini 4を買ったようなものです。

当然、6万円でiPad mini 4を買った方が安いわけですね。

しかし、ふるさと納税のマジックにより、iPad mini 4が無料でもらえる人がいます。

iPad mini 4が無料でもらえる人は誰?

ふるさと納税の自己負担は、最低が2,000円です。

その人の年収(所得)によっていくらまでなら最低限度の2,000円になるかは違いますが、では、18万円のふるさと納税をした場合に、税金が還付(または減額)されることで自己負担が2,000円になるのは、次のとおりです(目安です)。
ふるさと納税目安

例えば、共働き世帯なら、年収900万円以上の人は、「iPad mini 4」が2,000円で手に入ります。

つまり、18万円を寄付して、17万8,000円だけ税金が安くなります。

すると、本当に自分が払ったのは2,000円だけです。

それなのに、お礼の品として、6万円相当のiPad mini 4がもらえます。

なお、「ふるさと納税は楽天カードでポイント還元率16%以上!楽天市場で自己負担0円にする裏技」の記事のとおり、この自己負担は0円にすることが簡単にできるので、無料でiPad mini 4がゲットできることになります。

ふるさと納税で得する人、損する人

例えば、この年収900万円のAさんが、東京都23区内に在住の人だと、何が起こっているのでしょうか?

【Aさん:得する人】
▲18万円のふるさと納税をする
+17万8,000円だけ税金が安くなる
+6万円のiPad mini 4が手に入る
つまり、2,000円で6万円のiPad mini 4を手に入れたようなものだから、5万8,000円の得

【神奈川県小田原市:得する人】
+18万円のふるさと納税を受ける
▲6万円相当でiPadmini4を購入したり送料を負担したりする
▲1万円くらい楽天市場などに広告宣伝費に使う(イメージです)
差引+11万円の税収アップで得

【楽天市場:得する人】
+1万円で手数料ゲット(イメージです)で得

【アップル社など:得する人】
+6万円でiPad mini 4が売れる
※正確には、中間業者が入ってますけどね


さて、この中で、「+17万8,000円だけ税金が安くなる」の裏返しがないですね。

【国・東京都23区:損する人】
▲17万8,000円だけ税収が減る


そうです。税金が減るということは、所得税なら国が、住民税なら東京都の税収が減っているのです。

8月2日の総務省の発表では、受け入れた寄附金から税収減を引くと、ワースト1位の東京都は▲249億円の赤字となっています。

まあ、ある意味、東京に集中している税収を地方に分配するという趣旨には、合っていますが、これが「ふるさと納税」なの?と首をかしげる人は多いでしょう。

【東京都民:損する人】
ふるさと納税による減収により、本来なら得られるはずの公共サービスが受けられない(トータル▲249億円相当)

ある自治体では、保育園のために必要な税収が削られたそうです。

もしかしたら、関係ないと思っていたあなた自身が、いつの間にか、ふるさと納税で損する人になっているかもしれませんね。

ゆがんだふるさと納税は、庶民の味方ではなく、富裕層の味方

テレビ番組でたびたび見かける、ふるさと納税の専門家がいます。

毎日のようにふるさと納税で特産品がきて冷蔵庫や冷凍庫がパンパンになっていますが、現在の年収は7億円くらいあるそうです。

昨年、約1,300万円をふるさと納税して、そのうち約1,000万円は千葉県某町に寄付しました。
 
そこは、富裕層では節税対策になるとよく知られたふるさと納税の聖地で、特殊な金券により、高級腕時計やシャンパンなど数百万円分を買っても、自己負担は2,000円です(現在は金券はやめています)。


日本はいつからタックスヘイブン(税金の支払いを不自然にまぬがれることができる場所)になってしまったのでしょう。

そろそろなんとかしないとまずくないですか?
 

もしかすると小田原市のiPadは苦渋の決断かもしれない。

最後に、8月2日の総務省の発表資料(平成28年度ふるさと納税に関する現況調査(税額控除の実績等)について)の中には、ふるさと納税に関する調査も含まれていて、それをご紹介して終わりましょう。

小田原市調査票
(中略)
小田原市調査票2

「返礼品の選択肢の拡大により、ふるさと納税の本来の趣旨が失われつつあり、今後この制度を健全に継続するには、返礼品の選択をなくす、もしくは取りやめる検討が必要であると思われます。」
 
 
【ふるさと納税】都市セールスアプリ「小田原のチカラ」 15か月利用チケット(9.7インチiPad Pro Wi-Fi 128GB - ゴールド 付き)

 
小田原市のこのコメントは、ふるさと納税の本来の趣旨に合わないiPadを返礼品にしておいて何を言ってるんだ?という見方もできる一方で、実は、そうでもしないと自分たちの減収を食い止められないという苦渋の決断なのかもしれないとも思えるところです。


神奈川県は、東京都についで、ふるさと納税の赤字がワースト2位です。
 
例えば、横浜市では、ふるさと納税の減収が自治体の運営に大きな影を落としています。

今回、この調査票の矛盾したコメントを見て、ふるさと納税の非常にゆがんだ姿を見てしまったので、あえて小田原市を取り上げた次第です。


・・・とりあえず、総務省はふるさと納税の返礼品の規制を徹底的にやる気がないなら、

(1)最低の自己負担を2,000円の定額にしない制度(富裕層ほど自己負担が比例して高くする)にする

(2)ふるさと納税の上限を設ける(最高100万円までとか)

などして、富裕層の節税に使われないようにすればいいと思うんですけどね。


そういうわけで、今回の記事は、ふるさと納税でiPadをゲットして得しよう!という趣旨の記事ではなく、ふるさと納税の闇に迫る記事でした。


庶民は、ふつうにふるさと納税を楽しめばいいと思います。


以上、neronaでした。