日本には「年(暦年)」と「年度」という考え方があります。

年(暦年)・・・1月~12月

年度・・・4月~翌年3月



しかしこの結果、

平成27年
=平成27年1月~平成27年12月

平成27年度
=平成27年4月~平成28年3月


ということで、

「平成27年4月~12月」の場合は、
「平成27年」であり「平成27年度」なのですが、

「平成27年1月~3月」は
「平成27年」と「平成26年度」と、

「平成28年1月~3月」は
「平成28年」と「平成27年度」と


年と年度が1年ずれてしまいます。


この皆さんが知っている常識が、実は、扶養控除と児童手当の損を生みます。

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「扶養控除」の損

扶養控除については、ちょっと前までは0歳のときから適用があったのですが、「手当」を支給するから15歳以下のいわゆる「年少扶養親族」については、対象外となりました。

逆に言えば、16歳以上の扶養親族は扶養控除の対象です。

はい、ここで問題。

16歳かどうかは、いつ判定するのでしょうか?




その年12月31日現在の年齢です。


そうです。年末です。

所得税は1月1日から12月31日までの「年(暦年)」を計算期間としているためか、扶養控除について、12月31日で判定する制度となっています。


なんと! じゃあ、1月1日に産まれたら損だね・・・ええ、そう思うでしょう。

でも、年末調整の資料を書いたことがある人は、知っていると思いますが、「1月1日」も対象です。

<「平成27年分 給与所得者の扶養控除等(異 動)申告書」の場合>
無題


ややこしいのですが、民法では、誕生日の前日の24時に年齢が上がります。

「誕生日の0時ではない」という点がミソです。


1月1日生まれの人は前日の12月31日に年齢が1つ上がります。


そのため、扶養控除の判定の観点からは、

早生まれの子ども
=1月2日~4月1日生まれ


遅生まれの子ども
=4月2日~1月1日生まれ


となるのです。


ここまではいいでしょうか?


さて、「平成12年1月1日生まれの子ども」は、平成27年12月31日に16歳になるため、平成27年分の年末調整でようやく扶養控除の対象にすることができます。


逆に言えば、平成27年の場合、平成12年1月2日以後に産まれた子どもは、 扶養控除の対象にできないのですね。


同じ学年なのに、

遅生まれ(平成12年1月1日以前生まれ)の子どもを持つ親

⇒平成27年に扶養控除38万円OK


早生まれ(平成12年1月2日以後生まれ)の子どもを持つ親


⇒平成27年に扶養控除はない


このように、扶養控除で早生まれの子どもを持つ親は損をしているのです。



いやいや、neronaさん。

確かに今年はできないかもしれないけど、来年は16歳になるからできるんでしょ。

1年遅れで、まあ、ちょっとは損しているように見えるかもしれないけど、長い目で見れば同じことでしょ。



・・・と考えたくなりますが、本当にそうでしょうか?


扶養控除は、年収103万円の壁があります。

ストレートに社会人になれば、4月入社でその年の年収は103万円を超えるケースが多いでしょう。


遅生まれ(平成12年1月1日以前生まれ)の子どもを持つ親

控除の時期(年齢)  控除
平成27年(16歳)  38万円
平成28年(17歳)  38万円   
平成29年(18歳)  38万円
平成30年(19歳)  65万円
平成31年(20歳)  65万円
平成32年(21歳)  65万円
平成33年(22歳)  65万円
平成34年(23歳)  4月から社会人
※年齢は12月31日時点

38万円の控除:3回
65万円の控除:4回


早生まれ(平成12年1月2日以後生まれ)の子どもを持つ親


控除の時期(年齢)  控除  
平成27年(15歳)  もらえない
平成28年(16歳)  38万円   
平成29年(17歳)  38万円
平成30年(18歳)  38万円
平成31年(19歳)  65万円
平成32年(20歳)  65万円
平成33年(21歳)  65万円
平成34年(22歳)  4月から社会人
※年齢は12月31日時点

38万円の控除:3回
65万円の控除:3回


社会人になるのは、「年度」単位が一般的ですよね。

ストレートにいけば、早生まれの子どもは、22歳時点での「65万円」の扶養控除がないまま社会人になります。

1年遅れで長い目で見れば同じ金額ならまだ許せると思いますが、実は、1年分ないのがこの制度の致命的な欠陥です。


この話題を出すと、「早生まれの子どもを産む親の自己責任だ」なんてことを言う人がいますが、制度の欠陥を個人の自己責任に転嫁してはいけません。

こんなもの、いくらでも制度を変えれば対応できるのですが、変わらない状態が続いています。


「児童手当」の損

もう怒り心頭ですっかり忘れているかもしれませんが、もう1つ、児童手当もひどいことになっています。

そもそも15歳未満の年少扶養親族を扶養控除の対象から外す理由は、「手当」を支給するというのが理由でしたが、手当は現在の児童手当も、当時の子ども手当も、「中学校修了時までの子育ての支援」なんですね。


「児童手当」
は、スタートは0歳からですが、15歳に到達してから最初の年度末(3月31日)までの間の児童が対象となります。


既に

「年(暦年)」
を対象としている「扶養控除」




「年度」を
対象としている「児童手当」


ということでズレています。


高校1年生でも、早生まれの人は、前の年の12月末時点では15歳なので、扶養控除はないことは、先程ご説明した通りです。

しかも、児童手当は中学卒業(=15歳に到達してから最初の年度末)に打切りなので、ありません。

この結果、「早生まれの高校1年生」は、扶養控除もないし、児童手当もないという不公平な状況になります。


いや、「ウソつき」ですよね。

年少扶養控除をやめるのは手当を支給するからという理由は、早生まれの子どもを持つ親にとっては、「ウソ」になってしまうのです。

それにもかかわらず、放置されています。

毎月、同じ数の子どもが産まれるとすれば、早生まれの子どもたちは「4分の1」います。

年少扶養控除を廃止して、手当に変えることによって、「4分の1」の子どもたちの手当(あるいは扶養控除)がカットできた・・・なんてこと考えてないですよね??



どれだけ損をするのか?

「扶養控除」がないことによる損
65万円(所得税:特定扶養控除)×所得税率(5%~45%)
45万円(住民税:特定扶養控除)×10%

所得税率が10%だと仮定すると、

65万円×10%
+45万円×10%
=21万円


「児童手当」がないことによる損
中学生:月1万円

月1万円×12月
=12万円



この問題は、最近始まった問題ではなく、昔からあった問題です。


計算や「年」のとり方で、記事中、おかしな部分もあったかもしれませんが、早生まれの子どもを差別するとはけしからん!と申し上げたかっただけです。


この件については、平成22年の「第174回国会 財務金融委員会」でも議員の方が問題ありと質疑を行っています。
それからもう一点は、早生まれの子供の問題なんです。

資料の五ページの表を見ていただきたいんですが、子供が高校一年生のときと高校卒業年に問題が発生するんですが、とりわけ扶養控除が廃止されるため、高校一年生の子供が早生まれの場合は全く所得控除が受けられなくなる。

同学年で十二月末までに誕生日を迎える子供は、特定扶養控除の上乗せ部分が廃止されるために所得税で三十八万円に減額はされるが、扶養控除を受けることはできる。

つまり、早生まれの高校生だけが、子ども手当も扶養控除も受けることができない。これはおかしいんじゃないでしょうか。

同じ高校一年生でこういう差別が発生する理由を説明していただきたい。
これに対する回答は残念ながら納得できるものではなく、さらに、今後検討すると言われながら5年が経っています。

配偶者控除を含めた所得控除の大改正が議論されています(平成28年度税制改正では見送られました)。

この「早生まれ不公平問題」も同時に解決されることを祈るばかりです。

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2015年年末調整特集

2015年(平成27年)分の年末調整に関する記事をまとめました。