この記事は、書庫のある家.comの「なぜバレた? 黙っていたパート収入120万円で夫が呼び出された理由」に移転しました。

「Aさん、総務部のYさんからちょっと確認したいことがあるから、総務部に来てほしいって内線がありましたよ」

同期の「Y」という名前を聞いて、首をかしげた。

総務部の中で給与計算を担当しているのがYだった。口がかたい男だ。

それにしても、今は10月。

こんな時期に給与のことであいつがなんだろう?

「ありがとう」

とにかく内線で、午後2時に総務部を訪ねることを伝えた。

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==午後2時:株式会社ネンチョー総務部==

「ああ、ごめんね~、営業で忙しいのに」

Yは顔を見るなり立ち上がって、総務部の隣にある個室を指差した。

「なんか問題でもあったのか? 経費の立替はおまえじゃないよな」

「まあ、中で話すよ」

節約のために消していた電気をつけると、Yは早速、書類を取り出した。

「税務署からね、これがきちゃってね。奥さん、収入が超えちゃったみたいだね」

Yの書類には、「扶養控除等の控除誤りの是正について」とあった。

どうも苦手な形式ばった書類だ。


「収入? そういえば、パートで出ているけど、103万円におさえてるって聞いてたぞ」

どうやら平成26年のパート収入のことを言っているようだが、何でこんな忘れた頃に、税務署から、しかも自分宛てではなく会社宛てに届くんだろう!


「ああ、そうなんだ。でもね、どうも違うみたいで、実際には、奥さん、昨年、103万円超えて働いてたみたいだね」

そういえば、12月も勤め先から頼まれて年末近くまで働いていたのを思い出した。


「これって、どうなるんだ?」

「ん~。言いにくいんだけど、まず、税金のことだけど、配偶者控除で申告していたのが配偶者特別控除の方になるから、税金を追加で払わないといけないね」


「オレが確定申告するってことか?」

「まあ、会社で再度年末調整するとけっこう面倒だから、そうなるかなぁ」


そのとき、Yが言葉を切って、妙な沈黙が流れた。

どうも嫌な予感がした。


「Yさあ、うちの会社の配偶者手当の条件、知ってるだろ」

「奥さんの収入が103万円を1円でも超えたら翌年1年間は出ないって」



ガツン!と頭を殴られたような気がした。

そうだ。

だから103万円以内におさまるように妻には口をすっぱくして言っていたのだ。


うちの会社では、月2万円だから年間で24万円だ。


これがなくなるのはかなり痛い。

「一応うちの会社の前例でいくと、本来もらうべきではなかった分は過去にさかのぼって返せとは言わないけど、分かった月から1年分はもらえなくなるんだ。今月分から支給停止になるから、そのつもりでね」


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さて、

なぜ奥様のパート収入が、会社にバレたのでしょうか?


Aさんが帰って奥様を問いつめると、自分のパート収入がいくらなのかを知られたくないし、会社の手当もほしかったので、103万円を超えていないとウソをついていたそうです。


また、今回とは逆に、奥様の収入が103万円を超えているのを知っていて、会社に黙っている旦那様もいます。


しかし、これが会社にバレる場合があります。

それは、次のような流れがあるからです。

【12月下旬~1月初旬】
会社が年末調整をする
 ↓
「給与所得の源泉徴収票」を本人に渡す
 +
従業員で年収500万円以上なら税務署にも提出する
 +
同じようなものを市町村に2枚提出する
 ↓
【~翌年6月ごろ】
市町村で住民税の計算をし、会社に住民税の計算用紙と納付用の用紙が届く
 ↓
【随時】
市町村で扶養関係がチェックされ、配偶者控除や扶養控除の適用に誤りが判明

 ↓
市町村から「税務署」に連絡
 ↓
税務署から勤め先の会社へ連絡
「扶養控除等の控除誤りの是正について」
これで会社にバレる

 ↓
会社が本人に確認
奥様が黙っていたときにはここで旦那様にバレる
 ↓
通常、過去3年分の見直しを指示される
 ↓
勤務先で再度年末調整をさかのぼってやり直すことに
 +
手当の支給が停められることも(会社ごとに対応は違うと思います)


ざっくり言うと、こんな感じです。

税務署では従業員なら年収500万円以下の人の情報しかないので把握できません。

一方、市町村では住民税の計算のためにほぼ全部の情報を把握するため、気づく可能性があります。

ただし、100%わかるわけではなく、市町村民税の担当者が気づくかどうかはそれぞれです。

また、金額的に小さければ、あえて税務署に報告しない場合もあるでしょう。



なお、2016年からマイナンバー制度が本格スタートすると、配偶者控除や扶養控除の適用誤りを見つけるのがとても簡単になります(ちゃんとマイナンバーが記載されていることが前提ですが)。

2016年、つまり「平成28年分 給与所得の源泉徴収票」から、今までの2倍の大きさになり、自分のマイナンバーと配偶者・扶養親族(子どもなど)のマイナンバーを記載する箇所が設けられます。
源泉徴収票
特に、配偶者や扶養親族のマイナンバーについては、これを手掛かりにすることで、本来は配偶者控除や扶養控除を受けられないのに受けているケースを発見しやすくなります。
源泉徴収票2

今回は妻のパート収入の話でしたが、他にも大学生の子どもがアルバイトをし過ぎて扶養控除の対象外になる、ということもよくあります。


「給料」をもらうパートやアルバイトをしている場合には、マイナンバー制度の導入で、正しくしていないと後から面倒なことになる可能性が今より高くなりそうです。


なお、もし、誤った収入の見込み(正確には「所得」の見込み)を会社に伝えたまま年末調整が終わってしまった場合には、

・1月中なら会社に再度伝えて年末調整をやり直してもらう

・自ら確定申告(この場合は旦那様)をして正しくする

あたりが選択肢になってくると思います。

・・・といっても、税金だけでなく、手当や社会保険、保育料などにも場合によっては影響が出ますので、なかなか難しいですね。


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2015年年末調整特集

2015年(平成27年)分の年末調整に関する記事をまとめました。